Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident


Draft document: Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident
Submitted by 温品惇一 Jun'ichi Nukushina, なし
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ICRPの自己矛盾を正すことが先決問題です

温品惇一

個人

<ICRPの自己矛盾>

 ICRPの倫理綱領(Code of Ethics*1)は、「ICRPは政府や組織から独立して行動する」旨、高らかに宣言しています。

 ところが、ICRP委員には政策立案者も含まれ、ICRP委員の仕事をする時間も各国政府が給与や旅費を支払っています*2。政府職員を兼ねるICRP委員は「国や雇用主を代表するものではない*2」が、放射線防護に関する基本姿勢はICRPの仕事をする時も政府の仕事をする時と同じなので、ICRPは「政府から独立」して行動できません。各国政府の政策立案者を委員に迎えながら「政府から独立している」と称するのは欺瞞です。ICRPは自ら掲げた「倫理綱領」を実現する方策を講ずるべきです。

<タスクグループ93は「政府から独立」していない>

 今回パブリックコメントを求めているドラフトをまとめたタスクグループ93の副議長H氏はICRP第4専門委員会委員であり、同時に原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁の職員です。2019年2月27日現在、原子力規制庁 放射線防護企画課 放射線防護技術調整官を務めています*3

 タスクグループ93の議長であり、ICRP主委員会委員でもあるK氏は、放射線審議会委員です*4。放射線審議会は法律で原子力規制委員会への設置が義務付けられた審議会であり、放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一を図るため、関係行政機関の長に意見を述べることができるとされています。被ばく防護に関する政府の方針決定を主導する立場にあります。

 H氏は常勤の政府職員であり、K氏も非常勤とは言え、日本政府職員です。日本政府職員が議長、副議長を務めるタスクグループ93がまとめたドラフトは、「政府から独立している」とは言えません。実際、このドラフトは福島原発事故の健康影響を過小評価し、原発再稼働を進めている日本政府の方針に沿った内容になっています。ICRPはタスクグループ93がまとめたドラフトを撤回すべきです。

 *1 http://www.icrp.org/admin/ICRP%20Code%20of%20Ethics.pdf

 *2 http://www.icrp.org/icrp_membership.asp

 *3 https://www.nsr.go.jp/data/000266339.pdf 

 *4 https://www.nsr.go.jp/data/000273530.pdf (2019.6.17 第145回放射線審議会参考資料1)

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